粘度(小学生が工作によく使う粘土とは違います)は、流体力学を学んだ方なら馴染みのある言葉だと思いますが、一般的にはあまりピンとこない物性かも知れません。
水や油といった液体や空気のような気体は、形状が容易に変わりますよね。こういう「流れる」物質を流体と呼びますが、流体の形状の変わりやすさ=流れやすさを表したものが「粘度」です。
今回は粘度に関連する単位の一覧とそれらの換算(変換)方法を解説します。
粘度の単位一覧
単位の最も基本的な表し方は、国際基準とも呼ぶべきSI(国際単位系)に基づいた単位でしょう。
SIって何?基本単位って何があるの?という方はこちらの記事をご参照ください↓↓↓
国際単位系とは?SI基本単位と換算(変換)を一覧表で紹介!国際単位系とは?SI基本単位と換算(変換)を一覧表で紹介!
粘度を表すSI単位は「パスカル秒(Pa・s)」です。パスカル(Pa)は特別な名称のついたSI組立単位の1つですので、パスカル秒も下式で変換することができます。
1Pa・s = 1N・s/m2
また、パスカル秒以外にも粘度に関連する単位として、以下が挙げられます。
- パスカル秒(Pa・s)
- ポアズ(P)
- センチポアズ(cP)
- ミリパスカル秒(mPa・s)
粘度の単位として広く使われているる「センチポアズ」「ポアズ」の定義などについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください↓↓↓
粘度の単位センチポアズ(cP)とは?水や血液など液体の粘度一覧も!粘度の単位センチポアズ(cP)とは?水や血液など液体の粘度一覧も!
粘度の単位換算表
先ほどご紹介した粘度に関連する単位の換算(変換)表は以下の通りです。
単位名 | Pa・s | P | cP |
パスカル秒 [Pa・s] | 1 | 10 | 1000 103 |
ポアズ [P] | 0.1 | 1 | 100 102 |
センチポアズ [cP] | 0.001 10-3 | 0.01 10-2 | 1 |
ミリパスカル秒 [mPa・s] | 0.001 10-3 | 0.01 10-2 | 1 |
例えば1Pa・sが何Pになるのか?を見たい場合は、上から2行目の「パスカル秒」の行を横に見ていき、P(ポアズ)の列と重なる所(左から3列目)の値を読むと「10」とありますね。
これは即ち、1Pa・s = 10P であることを意味しています。
動粘度の単位一覧
動粘度とは
粘度から派生した考え方に「動粘度」があります。
動粘度とは配管の圧力損失を計算する際に使われるもので、配管内を通る物質の粘度の値を密度(比重量)で割ったものです。単位は[m2/s]となります。
あれ、粘度だったハズなのになぜm2/sなの?と思われた方のために、SI単位系で説明します。
動粘度[m2/s] = ( 粘度[Pa・s] / 密度[kg/m3] )
ここでパスカル(Pa) = N/m2であり、更にニュートン(N) = m・kg・s-2ですので、すべてをSI基本単位に直してみると、以下のようになります。
(Pa・s) / (kg/m3) = (m・kg・s-2・s) / (kg / m3)
あとは分母と分子で消去できる部分を約分してしまえば、残った部分が動粘度の単位[m2/s]となる訳です。
動粘度の単位一覧
動粘度に関連する単位は、m2/sの他にも以下が挙げられます。
- 平方メートル毎秒(m2/s)
- ストークス(St)
- センチストークス(cSt)
動粘度の単位として広く使われている「ストークス」「センチストークス」の定義などについては、こちらの記事で解説しています↓↓↓
動粘度の単位センチストークス(cSt)とは?求め方や空気・水などの値も!動粘度の単位センチストークス(cSt)とは?求め方や空気・水などの値も!
動粘度の単位換算表
動粘度に関連する単位の換算(変換)表は以下の通りです。
単位名 | m2/s | St | cSt |
平方メートル毎秒 [m2/s] | 1 | 10000 104 | 1000000 106 |
ストークス [St] | 0.0001 10-4 | 1 | 100 102 |
センチストークス [cSt] | 0.001 10-6 | 0.01 10-2 | 1 |
まとめ
粘度は流体の流れやすさを表す度合い。使われる主な単位は以下の通り。
- パスカル秒(Pa・s)
- ポアズ(P)
- センチポアズ(cP)
- ミリパスカル秒(mPa・s)
※センチポアズ(cP)とミリパスカル秒(mPa・s)は同じ量を表します
また動粘度は配管の圧力損失を計算するのに用いられる、粘度を密度で割った値で、使われる主な単位は以下の通り。
- 平方メートル毎秒(m2/s)
- ストークス(St)
- センチストークス(cSt)