日本酒や焼酎好きな方ならお馴染みの単位に「升(しょう)」や「合(ごう)」があります。
「一升瓶」「四合瓶」などよく聞きますが、これは具体的にどれくらいの量を表しているのでしょうか?
また、「升」は「ます」とも読みますが、同じ読みの漢字に「枡」もあります。単位としてはどちらの漢字も使えるのでしょうか?
今回は日本古来の単位「升(しょう)」の成り立ちから、その元となったマスについての豆知識などご紹介します。
目次
体積の単位「升」とは
日本でメートル法を採用する前、尺貫法という計量法に則って体積の単位として使われていたのが「升」で、読み方は「しょう」です。
升の定義
升はお酒やお米を入れる枡(マス)が語源の単位です。昔は量り売りが基本で、その計量に枡を使っていたので、この単位名が付いたのです。
枡の寸法は縦横がそれぞれ4寸9分(約14.8cm)、深さが2寸7分(約8.2cm)であったことから、体積(容積)を計算すると、以下のように求められます。
約14.8cm × 約14.8cm × 約8.2cm = 1803.907cm3 ≒ 1.8L
なおメートル法との正式な換算式は下式です。
1升 = 2401/1331000 m3 = 1.8L
枡の容積の理由
上で紹介した枡の寸法、ずいぶん中途半端だと思いませんでしたか?これにはちょっと面白い理由があります。
元々、枡(マス)の寸法は豊臣秀吉の時代に全国で統一され、当初は「京枡」と呼ばれる以下のサイズでした。キリの良い大きさだったのです。
京枡の寸法:縦横 各5寸(約15cm)、深さ 2.5寸(約7.5cm)
※容積 62500立方分
ところが江戸時代に入り、この枡の寸法が「新京枡」として以下のように改められました。縦横が1分ずつ減り深さが2分増えたことで、容積が少し増えています。
新京枡の寸法:縦横 各4寸9分(約14.8cm)、深さ 2.7寸(約8.2cm)
※容積 64827立方分
これは年貢を少しでも多く取り立てるため、幕府が農民を欺くのが目的だったと言われています。「縦と横を1分ずつ減らして深さを2分増やす。増える大きさも減る大きさも同じ2分ずつだから、中に入る量は変わらない」という屁理屈ですね。
現代人ならこんな言葉のあやに騙されることは無いでしょうが(騙されたらヤバい)、当時はろくに計算ができない農民も多かったのでしょう。
体積の単位「合」とは
升と同じく、尺貫法における体積の単位が「合」です。「ごう」と読みます。
合の定義
1合は1升の1/10(10分の1)の量を表します。
1合 = 升 × (1/10) = 0.18L = 180mL
つまり居酒屋などでよく見かける「四合瓶」というのは、180mL × 4 = 720mLの容量ということですね。
【豆知識】1合徳利の量
瓶や枡ならともかく徳利(とっくり)で「1合」と注文する際は注意が必要です。
なぜなら、実は徳利にはピッタリ180mLが入る訳ではなく、大抵の居酒屋では150mL(※)程度しか入っていないからです。
※よく使われる徳利「八勺燗(はっしゃくかん)」の容量
何だか、先ほどの枡の容積の話のように言葉に騙されている感がありますが、もし「1合というからには、ピッタリ180mL飲みたい!」と思われた方は、「正一合」と銘打ったお店を探しましょう。
枡と升の違い
尺貫法の単位として使われているのは「升」。しかし、その元となっていたマスを漢字で書くと「枡」。これらの違いは何なのでしょう?
端的に言うと、元々作られた漢字は「升」で、「枡」は容器のマスという意味だけを表すために後から作られた漢字なのです。
「升」という漢字は、柄杓(ひしゃく)の中に物を入れた形から作られた象形文字です。そしてそこから米や酒、醤油などの量を量るマスの字としても使われるようになり、その後本記事で解説してきた「升」の単位を意味するようにもなりました。
しかしマスを「升」と書いたままでは、例えば「一合マス」と書くと「一合升」となり、単位は合なのか升なのかよく分からなくなります。そこで容器としてのマスにのみ木篇をつけて「枡」と書き分けるようになりました。
従って、「枡」の字はあくまで容器の「マス」の意味しか持たない、その他の意味で使いたい時は「升」を使うのが正解、と覚えておきましょう(容器のマスはどちらを使っても間違いではありません)。
枡の測り方(量り方)
枡が売っているお店
日本酒を飲みたい時、お祝い事をしたい時など、枡を買いたいこともあるでしょう。
現代において枡(マス)はどこで売ってるのか、皆はどこで買ってるのかを調べてみました。
1. インターネット通販
Amazonや楽天など、主だったネット通販サイトなら普通に売っています。
樹脂製の枡でもヒノキ製の昔ながらの枡でも、1個300円程度からありますね。
樹脂製:
ヒノキ製:
2. 100円均一ショップ(100均)
一部の100円ショップでも枡が売っているそうです。中にはこんなにラインナップが豊富なお店も!
近所の100均、何でこんなに枡のサイズが充実してるの🤔??? pic.twitter.com/Bcimn0w6Jr
— まなか (@manaka_co_co) October 26, 2019
木製の枡が手に入ることもあるようですが、普通のお店で買うより強度が弱い、安っぽいなどの感想を挙げている方もいらっしゃったので、購入する際は他の商品と見比べてからの方が良いかも知れません。
3. 街の雑貨屋
和小物を扱っている雑貨屋さんなどでも、枡はよく売られています。中にはこんな可愛らしいオシャレな枡も!
猫の枡・にゃんますが入荷しました!出来立てホヤホヤ、工房から直で持ってきてくれました〜(´∀`) 枡酒にも小物入れにも♪#枡 #にゃんます #猫 #王冠印雑貨店 #湯島 #御茶ノ水 #本郷三丁目 #文京区 #末広町 #雑貨屋 pic.twitter.com/3waig4sukJ
— 王冠印雑貨店【オウカンジルシザッカテン】 (@Zakkaya_Oukan) June 17, 2017
4. お酒やスイーツのおまけ
酒屋さんなどでお酒を買うと、そこにセットとして枡が付いて来るパターンもあります。自分好みの日本酒を枡で飲みたいなぁ…という方などは、セットで売られている物を狙ってみるのも手ですね。
【バレンタインに!大人スイーツ】
宮城県の銘酒「綿屋」の純米酒をスイス🇨🇭フェルクリン社のビターチョコで包み、綿屋の焼印をつけた枡に入れました。
1年に1度の限定品です。
バレンタインのプレゼントに自分用にお早めにどうぞ!
¥1260 税別#バレンタイン #日本酒 #練馬区 #酒屋 pic.twitter.com/TRzs8PWXbB— 三又酒店 練馬区大泉学園 酒屋 (@sanmatasaketen) February 8, 2020
まとめ
「升(しょう)」は尺貫法で使われていた体積(容積)の単位。
1升 = 2401 / 133100m3 ≒ 1.8L
1升の1/10の量を表す単位「合(ごう)」も存在する。
升は「ます」とも読み、よく似た感じ「枡」もあるが、後者は容器としてのマスという意味だけを持つ。
升を購入したい時はインターネット通販が確実だが、時には100均で売られていることもあり、今でも様々なお店で手に入れることができる。