2011年3月の東日本大震災では、最大で震度8を観測した、などという話を耳にします。
そうでなくとも地震大国の日本では日々地震が発生しており、私達も揺れを感じる度に「今震度いくつだった?」と気にになります。
今回は地震の「震度」について、それぞれの震度がどれくらいのレベルなのか、また震度と並んでよく聞く単位「マグニチュード(M)」との換算方法についても解説します。
地震の震度とは
地震が起きた時に速報ですぐに流れる「震度」情報。実はこれ日本独自のものだとご存じだったでしょうか。
震度の正式名称は「気象庁震度階級」と言い、揺れの体感や周囲に及ぼす影響などから地震の大きさを推定するものです。
つまり震度はあくまで階級であって単位ではないということになります。
ただし毎回体感などで震度を決めていたら不正確なので、現在では震度の大きさを測る計測震度計を使い、自動的に震度が求められるようになっています。
地震が起きた時にすぐ震度情報を得ることができるのは、こういった計測技術の発達のおかげなんですね。
なお、計測震度計の値と震度の大きさとの関係は下表の通りですが、その算出方法は一般人にはなかなか理解しにくいので、あまり気にする必要は無いと思います。
震度階級 | 計測震度 |
0 | 0.5未満 |
1 | 0.5以上1.5未満 |
2 | 1.5以上2.5未満 |
3 | 2.5以上3.5未満 |
4 | 3.5以上4.5未満 |
5弱 | 4.5以上5.0未満 |
5強 | 5.0以上5.5未満 |
6弱 | 5.5以上6.0未満 |
6強 | 6.0以上6.5未満 |
7 | 6.5以上 |
引用:気象庁「計測震度の算出方法」
震度の階級(レベル)一覧
気象庁が定めている震度階級の一覧をご紹介します。正式に定められている震度は7までとなっており、現時点では震度8という値は存在しません。
震度 階級 | 人の体感・行動 | 屋内の状況 | 屋外の状況 |
0 | 人は揺れを感じないが、地震計には記録される。 | - | - |
1 | 屋内で静かにしている人の中には、揺れをわずかに感じる人がいる。 | - | - |
2 | 屋内で静かにしている人の大半が、揺れを感じる。眠っている人の中には、目を覚ます人もいる。 | 電灯などのつり下げ物が、わずかに揺れる。 | - |
3 | 屋内にいる人のほとんどが、揺れを感じる。歩いている人の中には、揺れを感じる人もいる。眠っている人の大半が、目を覚ます。 | 棚にある食器類が音を立てることがある。 | 電線が少し揺れる。 |
4 | ほとんどの人が驚く。歩いている人のほとんどが、揺れを感じる。眠っている人のほとんどが、目を覚ます。 | 電灯などのつり下げ物は大きく揺れ、棚にある食器類は音を立てる。座りの悪い置物が、倒れることがある。 | 電線が大きく揺れる。自動車を運転していて、揺れに気付く人がいる。 |
5 | 大半の人が、恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる。 | 電灯などのつり下げ物は激しく揺れ、棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある。座りの悪い置物の大半が倒れる。固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある。 | まれに窓ガラスが割れて落ちることがある。電柱が揺れるのがわかる。道路に被害が生じることがある。 |
5 | 大半の人が、物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる。 | 棚にある食器類や書棚の本で、落ちるものが多くなる。テレビが台から落ちることがある。固定していない家具が倒れることがある。 | 窓ガラスが割れて落ちることがある。補強されていないブロック塀が崩れることがある。据付けが不十分な自動販売機が倒れることがある。自動車の運転が困難となり、停止する車もある。 |
6 | 立っていることが困難になる。 | 固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある。ドアが開かなくなることがある。 | 壁のタイルや窓ガラスが破損、落下することがある。 |
6 | 立っていることができず、はわないと動くことができない。揺れにほんろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある。 | 固定していない家具のほとんどが移動し、倒れるものが多くなる。 | 壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物が多くなる。補強されていないブロック塀のほとんどが崩れる。 |
7 | 固定していない家具のほとんどが移動したり倒れたりし、飛ぶこともある。 | 壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物がさらに多くなる。補強されているブロック塀も破損するものがある。 |
震度はあくまで揺れの度合いを示す目安なので、人の被害の大きさをそのまま示すものではありません。
東日本大震災では2万名近い方が亡くなりましたが、公式に発表された震度は7でした。また、2016年の熊本地震も同じく震度7でしたが、2つの地震で数値が異なっていたのが、次に説明するマグニチュードです。
震度とマグニチュードの換算方法
震度とマグニチュードを単純に換算する方法はありません。なぜなら、先ほど書いたように震度は揺れの大きさを体感に基づいた階級で表したもの、一方マグニチュードは地震そのもののエネルギー規模を表したもので、表すものが全く異なるからです。
地震のエネルギー量が大きくても、揺れ方によっては感じる揺れがそんなに大きくない場合がありますし、逆に大した地震じゃないはずなのにかなり揺れるという場合もあります。
例として、昨今(平成18年以降)日本で発生した震度7の巨大地震の履歴を見てみましょう。同じ最大深度でも、マグニチュードは6.7~9.0と大きな開きがあります。
発生年月日 | 震央地名・地震名 | マグニチュード [M] | 最大 震度 | 津波 | 人的被害 | 物的被害 |
平成30年(2018年)9月6日 | 胆振地方中東部 平成30年 北海道胆振東部地震 | 6.7 | 7 | 死 43 負 782 | 住家全壊 469棟 住家半壊 1,660棟 住家一部破損 13,849棟 など 【令和元年8月20日現在】 | |
平成28年(2016年)4月14日~ | 熊本県熊本地方など 平成28年熊本地震 | 7.3 | 7 | 死 273 負 2,809 | 住家全壊 8,667棟 住家半壊 34,719棟 住家一部破損 162,500棟 など 【平成31年4月12日現在】 | |
平成23年(2011年)3月11日 | 三陸沖 平成23年 東北地方太平洋沖地震 (東日本大震災) | 9 | 7 | 9.3m 以上 | 死 19,689 不明 2,563 負 6,233 | 住家全壊 121,995棟 住家半壊 282,939棟 住家一部破損 748,109棟 など 【平成31年3月1日現在】 |
気象庁のデータを見て頂ければ分かりますが、逆に同程度のマグニチュードでも震度が全く異なるケースも多々あります。
マグニチュードとは
マグニチュードは地震のエネルギー規模を表す尺度であり、相対的な地震の大きさを表すものです。
震度とは異なり「マグニチュード」は世界共通ですが、その計測方法が国によってやや異なるため、同じ地震でも異なるマグニチュード値が発表されることもあります。
単位記号
[M]※気象庁の正式な記号は[Mj]、その他モーメントマグニチュードを表す[Mw]も存在する
定義
常用対数を使った尺度。地震計で観測される波の振幅から計算されます。
- マグニチュードの値が1大きい → 地震規模約32倍
- マグニチュードの値が1.3大きい → 地震規模約100倍
- マグニチュードの値が2大きい → 地震規模約1000倍
まとめ
震度の正式名称:気象庁震度階級
※震度は階級であり、揺れの大きさを具体的に表す単位ではない
※震度は日本独自のもの。国ごとにその定義は異なる
震度階級:震度0, 1, 2, 3, 4, 5弱, 5強, 6弱, 6強, 7 の10段階
震度とマグニチュードを直接換算する式は無い
マグニチュードは地震のエネルギー規模を表す尺度で、マグニチュードが1大きくなると地震の規模が約32倍、2大きくなると地震の規模が約1000倍にもなる。
マグニチュードの単位記号は一般的に[M]が使われるが、気象庁が使う[Mj]や更にモーメントマグニチュードの[Mw]という表記も存在する。