電気抵抗および温度係数の単位解説!読み方や換算・変換の計算方法も!

電気電子回路を学ぶとき、最初に覚える部品が「(電気)抵抗」でしょう。そしてその単位と言えば、電気の世界でもっとも有名なオームの法則に出て来る「オーム(Ω)」です。

今回は電気抵抗の単位オームの意味や他の単位との関係について解説すると共に、抵抗の温度係数についてもご紹介します。

抵抗の単位オームとは

電気抵抗というのは電気の流れにくさを表す係数で、その表記にはアルファベットの「R」が使われます。抵抗が大きいほど電気は流れにくく、逆に抵抗が小さければ電気は流れやすいということですね。

抵抗の単位「オーム(Ω)」は、電気を学ぶ人にとって最も身近な法則である「オームの法則」を発見したドイツの物理学者「ゲオルク・ジーモン・オーム」の名前から取られた単位です。

なおオーム(Ω)は、電気抵抗だけでなく、交流回路のインピーダンスやリアクタンスの単位でもあります。

単位記号

[Ω]
※記号はギリシャ文字の「オメガ」だが、読み方は「オーム」

MEMO
オーム(Ω)はSI組立単位の1つで、人名がベースとなっているので、本来は大文字のアルファベットで表すのが決まりなのですが、諸事情によりギリシャ文字が使われているという、ちょっと珍しい単位でもあります。

 

オームの定義

SIの中では、オームは次のように定義されています。

起電力源を含まない1個の導体の2点間に加えられた1 Vの一定電位差がこの導体中に1 Aの電流を生じさせるとき、その2点間に存在する電気抵抗

上記の表現は回りくどい感じがすると思いますが、下式を見るとなじみ深いと感じる人も多いでしょう。

1 Ω = 1 V/A = W/A2

※V:ボルト、A:アンペア、W:ワット

 

SI基本単位での表し方

SI組立単位であるオーム(Ω)は、もちろん基本単位だけで表すことができます。

式を分解した結果を以下にご紹介しましょう。

電気抵抗[Ω] = V/A = W/A2 = J/(s・A2) = (N・m)/(s・A2) = (m2・kg)/(s3・A2)

※J:ジュール、s:秒、N:ニュートン、m:メートル、kg:キログラム

電気工学を学んでいて、最右辺の基本単位だけで表したバージョンを見る機会はまずないと思いますし、見ても何の単位かさっぱりわからないですよね。

「組立単位」という形である程度単位をまとめて表すことが、いかに学問の理解に役立つか、お分かりいただけると思います。

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電気抵抗の単位換算・変換方法

電気抵抗の単位自体はオーム(Ω)以外にありませんが、設計する回路によって、実に幅広い範囲の値が使われています。

そしてそれらの値は、キロオーム(kΩ)やミリオーム(mΩ)など、SI接頭辞 + オーム(Ω)という単位で表すことができますので、表し方と値の一覧表をいかにまとめました。

オームの倍量・分量単位一覧
単位 読み方 Ωで表すと
ピコオーム 10-12
0.000000000001
ナノオーム 10-9
0.000000001
μΩ マイクロオーム 10-6
0.000001
ミリオーム 10-3
0.001
Ω オーム 1
キロオーム 103
1000
メガオーム 106
1000000
ギガオーム 109
1000000000

参考記事:SI接頭辞についてはこちらの記事もご参照ください↓↓↓
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抵抗温度係数とは

電子部品である「抵抗」は、温度によってその値が変化する性質を持っており、一般的には温度が上がるほど抵抗値が大きく、逆に下がるほど抵抗値が小さくなります(逆の特性を持った抵抗も存在します)。

このような温度特性はどんな抵抗でも必ず持っている性質で、何度でどの位変化するかは、その抵抗の材料などによって異なります。この性質を上手く使った製品がサーミスタ(温度センサ)です。

サーミスタにおいて温度1℃あたりの抵抗値の変化量を抵抗温度係数(TCR)と言い、αで表されます。αの単位は%/℃もしくはppm/℃です。

参考記事:パーセント(%)やppmについては、こちらの記事で詳しく解説しています↓↓↓
ppmとパーセントの換算方法!%記号の由来や単位としての定義も!
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電子回路を設計する際は、この抵抗温度係数を十分考慮する必要があります。

単位記号

[%/℃] または [ppm/℃]※物性によって決まる値であるため、あまり単位を付けて表現することはなく、定数として扱われることが多い

 

抵抗温度係数の定義

 

 

抵抗温度係数の正負

 

まとめ

オーム:電気抵抗・インピーダンス・リアクタンスの単位。「オームの法則」で知られる通り、Ω = V/Aで定義されるSI組立単位の1つ。単位記号は[Ω]。

SI基本単位だけで構成すると、Ω = (m2・kg)/(s3・A2)で表される。

倍量単位でよく使われるのはkΩ、MΩ。分量単位でよく使われるのはmΩ、μΩ、nΩ、pΩなど。かなり幅広い範囲の値で使われる単位となっている。

抵抗温度係数(TCR):抵抗器が持つ「温度によって抵抗値が変動する」特性を表すもので、温度1℃あたりに変化する抵抗値の割合を示す。単位は[%/℃]または[ppm/℃]。

また、上記の特性を生かした温度センサ「サーミスタ」でもよく使われる。