機械系の学部で勉強をしている学生さんや、社会人になって何らかの製品設計に携わっているエンジニアの方なら「応力」という言葉に馴染みがあるでしょう。
応力とは、ある物体に外部から力を加えられた際に、物体内部に生じる力の大きさやその力が作用する方向です。
その単位にはパスカル(Pa)やN/mm2、kgf/cm2、更にはksiというヤード・ポンド法の単位が使われることもあります。
今回はそれら応力の単位の読み方や変換方法を一覧表にまとめました。
目次
応力の単位一覧
応力で最も標準的に使われる単位は「パスカル(Pa)」です。パスカルはSI単位の中で固有の名称を持つSI組立単位で、B.Pascalにちなんだ単位です。
このパスカルをはじめ、応力に関連する単位には以下のようなものがあります。定義とそれぞれの単位記号・表記の仕方などご紹介します。
パスカル(Pa)
記号表記
[Pa]※B.Pascalの名前から取った表記
定義
1平方メートル(m2)につき1ニュートン(N)の力が作用する応力。
SI単位との換算
1パスカル[Pa] = 1ニュートン毎平方メートル[N/m2] = 1 [kg/(m・s2)]
よく使われる倍量・分量単位
キロパスカル(kPa)、メガパスカル(MPa)、ギガパスカル(GPa)
ニュートン毎平方メートル(N/m2)
記号表記
[N/m2]定義
1平方メートル(m2)につき1ニュートン(N)の力が作用する応力。パスカルと同量を表す。
SI基本単位との換算
1ニュートン毎平方メートル[N/m2] = 1 [kg/(m・s2)]
よく使われる倍量・分量単位
ニュートン毎平方ミリメートル(N/mm2)
ニュートン毎平方ミリメートル(N/mm2)
記号表記
[N/mm2]定義
1平方ミリメートル(mm2)につき1ニュートン(N)の力が作用する応力。
他の単位との換算
1N/mm2 = 106Pa = 1MPa(メガパスカル)
ぱっと見で考えるとmmよりmの方が単位としては大きいのに、力は逆に小さくなるの?と思われませんか?
同じ1Nの力が作用する面積が小さい=面積が大きくなった時に全体にかかる力はその分大きくなるということを示すので、1N/mm2の応力がかかる物体がそのまま面積100倍=1cm2になれば100N/cm2、つまり1N/cm2の応力よりも1N/mm2の方が力の大きさは大きいのだ、と言うことになりますね。
分母に来る面積が小さいほど応力の単位としては大きいと覚えておきましょう。
キログラム力毎平方ミリメートル(kgf/mm2)
今ではあまり使われなくなってきた古い力の単位です。
記号表記
[kgf/mm2]※fは力(force)の頭文字を取ったもの
定義
1キログラム力(kgf)とは、1キログラム(kg)の質量に重力の標準加速度をかけたもの、すなわち地球上に置かれた1kgの物体に及ぶ力を表します。
ですので、1kg/mm2とは、1平方ミリメートル(mm2)につき1キログラム力(kgf)の力が作用する応力を示します。
SI単位との換算
1キログラム力(kgf) = 9.80665ニュートン(N)ですので、
1キログラム力毎平方ミリメートル[kgf/mm2] = 9.80665 [N/mm2]
よく使われる倍量・分量単位
キログラム力毎平方センチメートル(kgf/cm2)
キロ重量ポンド毎平方インチ(ksi)
ヤード・ポンド法で応力によく使われる単位がksiです。
記号表記
[ksi]※kilopound-force per square inchの頭文字をとったもの
定義
1平方インチの面積につき1キロ重量ポンドの力が作用する応力を表します。
ksiは重量ポンド毎平方インチ(psi)にSI接頭辞(接頭語)であるキロが付いた単位です。つまり、1ksi = 1000psiになります。
SI単位との換算
1psi = 6894.76Paであることから、1ksi = 6.89476 × 107Paと換算することができます。
応力の単位換算表
先ほど挙げた応力の単位それぞれを換算できる一覧表が以下になります。
単位名 | Pa | MPa | N/mm2 | kgf/mm2 | kgf/cm2 | ksi |
パスカル [Pa] | 1 | 1000000 10-6 | 1000000 10-6 | 1.01972×10-7 | 1.01972×10-5 | 1.4504×10-7 |
メガパスカル [MPa] | 1000000 106 | 1 | 1 | 1.01972×10-1 | 10.1972 | 0.14504 |
ニュートン毎平方ミリメートル [N/mm2] | 1000000 106 | 1 | 1 | 1.01972×10-1 | 10.1972 | 0.14504 |
キログラム力毎平方ミリメートル [kgf/mm2] | 9.80665×106 | 9.80665 | 9.80665 | 1 | 100 102 | |
キログラム力毎平方センチメートル [kgf/cm2] | 9.80665×104 | 9.80665×10-2 | 9.80665×10-2 | 0.01 10-2 | 1 | |
キロ重量ポンド毎平方インチ [ksi] | 6.89476×107 | 68.9476 | 68.9476 | 1 |
例えば1Paが何N/mm2になるのか?を見たい場合は、上から2行目の「パスカル」の行を横に見ていき、ニュートン毎平方ミリメートルの列と重なる所(左から3列目)の値を読むと「10」とありますね。
これは即ち、1Pa = 10N/mm2 であることを意味しています。
まとめ
応力:物体に外部から力が加えられた際、その物体内部に発生する力の大きさや作用する方向のこと
主な応力の単位一覧
- パスカル(Pa)
- ニュートン毎平方メートル(N/m2)
- ニュートン毎平方ミリメートル(N/mm2)
- キログラム力毎平方ミリメートル(kgf/mm2)
- キロ重量ポンド毎平方インチ(ksi)
それぞれの単位の換算表を本記事で掲載してあるので、参考にして下さい。