パスカルをSI単位で表すと?ニュートンやバールなどとの換算方法も!

パスカル(Pa)は圧力の単位で、今日の国際的な単位標準「SI」では、固有の名称を持つ組立単位として定められています。

身近なところで言うと、天気予報でよく見聞きする「ヘクトパスカル(hPa)」という単位は、パスカルにヘクトという接頭辞が付いたものですね。

今回はそんなパスカル(Pa)をSI基本単位だけで表すとどうなるか、hPa以前に天気で使われていた単位「バール(bar)」との関係などについてご紹介します。

圧力の単位パスカルの定義

「圧力」を辞書で引くと、次のように説明されています。

二つの物体が互いに接触している時の接触面、または一つの物体の内部に仮定した面を境にして、両側の部分が面に垂直に互いに押し合う単位面積当たりの力。

引用:三省堂「大辞林 第三版」より

つまり、パスカルという単位もこの意味をそのまま式で表したもので、単位面積当たりの応力で表されます。

冒頭で書いた通り、パスカルはSI(国際単位系)で固有の名称を持つSI組立単位として認められた圧力の単位ですので、その定義は下式となります。

圧力 [Pa] = 力の大きさ [N] / 力が働く面積 [m2]

参考記事:SIって何?と思われた方はこちらの記事も参考にどうぞ↓↓↓
国際単位系とは?SI基本単位と換算(変換)を一覧表で紹介!
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なお、力の大きさで使っている単位[N]もニュートンというSI組立単位で、これをSI基本単位だけで表すと、下式になります。

1 N = 1 kg・m/s2

ですから、パスカルをSI基本単位だけで表すと下式となります。

圧力 [Pa] = (kg・m/s2) / m2 = kg / (m・s2)

ちなみにパスカルという単位の名称は「パスカルの原理」などで有名なブレーズ・パスカルに、ニュートンという単位の名称は「万有引力の法則」で有名なアイザック・ニュートンに、それぞれ由来しています。

SI組立単位には人名が使われることが多いんですね。

気圧の単位ヘクトパスカルとは

文系だしパスカルなんて単位は知らないという方も、毎年台風の時期に「中心気圧1000ヘクトパスカル(hPa)」なんて表現を耳にするでしょう。

ヘクトパスカルは、ヘクト(h)というSI接頭辞 + 圧力の単位パスカル(Pa)を組み合わせた単位です。

ここで接頭辞というのは、単位の前につけて「10倍, 100倍」といった倍数を表したり「1/100, 1/1000」といった分数を表したりするためのものです。

ヘクトは「100倍」という意味なので、パスカルとヘクトパスカルには次の関係式が成り立ちます。

1 hPa = 100 Pa

このように、接頭辞が付いて元の単位の○倍を表す単位を「倍量単位」といいます。

参考記事:SI接頭辞についてはこちらの記事で他にも詳しく解説しています↓↓↓
SI接頭辞(SI接頭語)とは?一覧まとめと変換方法、覚え方を紹介!
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圧力の他の単位との換算方法

パスカルとバールの換算

パスカルの前に使われていた圧力の単位といえば「バール(bar)」です。両者には下式の関係があります。

  • 1 bar = 100,000 Pa = 105 Pa = 100 kPa
  • 1 Pa = 10-5 bar = 10-2 mbar

パスカルとバールでは大きさがだいぶ異なるので、換算が非常にやりづらいですね。

そこで考えられたのが、次にご紹介するヘクトパスカルとミリバールの換算です。

 

ヘクトパスカルとミリバールの換算

先の気圧の例でいうと、以前はミリバール[mbar]という単位が使われていました。ヘクトパスカル[hPa]が使われるようになったのは1992年ですから、結構最近なんですね。

1 Pa = 105 barで直接換算すると使いにくい2つの単位を、使い勝手よくしようと考案されたのが、ヘクトパスカル(hPa)とミリバール(mbar)の変換です。

1 hPa = 100 Pa (102 Pa) = 10-3 bar = 1 mbar

つまり、ヘクトパスカル =ミリバールと置き換えることができるんですね。これなら使用する単位を変えても人々が混乱せずに済むという訳です。

単位というのは時代によって変わるものですが、それまで使っていた単位からの混乱をなるべく小さくしようと苦心して置き換えられたものが他にもあります。

例えば「畝、反、町」といった尺貫法の単位から「アール、ヘクタール」といったメートル法の単位への置き換えなどで、詳しくはこちらの記事をご参照ください↓↓↓
坪の畳数やm2の換算(計算)方法解説!実務的な測り方紹介も!

 

圧力の単位換算一覧

こちらの記事に、様々な圧力の換算表を作成しましたので、バールやミリバール以外の単位との変換をしたい場合は参考にしてみて下さい。

圧力の単位換算表!kgf/cm2,psiなど簡単に変換!

まとめ

パスカル:固有の名称を持つSI組立単位の1つ。単位記号は[Pa]。単位名の由来はブレーズ・パスカルの名前から。

圧力 [Pa] = 力の大きさ [N] / 力が働く面積 [m2]

で定義され、さらに力の単位ニュートン[N]をSI基本単位に分解すると、下式で定義される。

圧力 [Pa] = (kg・m/s2) / m2 = kg / (m・s2)

気圧でよく用いられる単位「ヘクトパスカル(hPa)」は、1 hPa = 100 Paの意味。また、以前用いられていた「ミリバール(mbar)」とは、1 hPa = 1 mbarという関係が成り立つ。