スターウォーズで最も有名な艦船「ミレニアムファルコン号」。作中でハン・ソロが「ケッセル・ランを12パーセクで飛んだ」と誇りにしている、驚異的な速さを誇る船ですよね。
ところでこの12パーセクのパーセクって何???と思われた方も多いと思いますが、実は天文学的な距離を表す単位なのです。
今回は、そんな一般人の頭では想像し難い単位「パーセク(pc)」について、その由来や距離の求め方などご紹介します。
パーセク(pc)とは
宇宙における距離を表す単位として最も有名なのが「光年」でしょう。パーセクはこの光年よりも長い距離を表すための単位です。
パーセクの由来
パーセクは「parallax(視差)」と「second(秒)」という2つの単語を組み合わせてできた造語です。
何故距離を表すのに「視差」なんて単語が出てくるのでしょう?それはパーセクが光年で表してもなお遠い宇宙を表すために作られた単位で、視差でできる角度と三角関数を使って求めるからです。詳しくは「パーセクの求め方」の項で解説します。
単位記号
※parallaxのpとsecondのcを取ったものが略称です
パーセクの定義
パーセクの定義を言葉で説明すると、以下のようになります。
1pc = 1天文単位(au)が円弧で1秒(sec)の角度を張る距離
パーセクの求め方
パーセクの求め方を図でわかりやすく示してくれている資料がありますので、その図を使って説明します。
「パーセクの由来」にあった通り、パーセクは視差と三角関数を使って距離を求めています。これを宇宙レベルで考えたのが下図です。
引用:星田直彦著「あなたの知らない身の回りの単位事典」PHP研究所より
地球は太陽の周りを公転していますので、地球から目的とする恒星を見ると、∠pだけずれることになります。この∠pを年周視差と呼びますが、年周視差が1秒の時の太陽と目的とする恒星までの距離が1パーセクになります。
角度の単位について詳しくはこちらの記事をご参照ください↓↓↓
角度の単位一覧!degやsrなど英語表記や分・秒などの意味も!
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なお地球と太陽の間の距離は1天文単位(au)、すなわち約1億4960万kmです。この距離と角度の関係から、地球と目的の恒星間の距離は下式で表すことができます。
パーセクと光年、kmとの換算方法
パーセクと光年、更にkmとの換算方法は以下の通りです。
1pc = 約3.26光年 (ly)
1光年(ly) = 9,460,730,472,580.8 kmより、
1pc = 30,841,981,340,613.408 km
恐らくpcとkmを直接換算する機会はほぼないと思われますので、pcと光年(ly)の関係をざっくり覚えておくと良いでしょう。
スターウォーズの「12パーセク」
本記事を読んで下さった方なら、冒頭でご紹介したハン・ソロのご自慢「ケッセル・ランを12パーセクで飛んだ」というセリフに違和感を覚えるでしょう。
パーセクは距離の単位ですから、上記のセリフを文字通り解釈すると、本来はケッセル・ランまでもっと遠い道のりを走らなければならない所を、近道などしてショートカットした(本来より短い距離しか走らなかった)という意味合いになってしまいます。
これはジョージ・ルーカス監督がパーセクの意味を誤解していたことに起因するとされており、彼はパーセクを速度(時間)の単位だと思っていたようなのです。
恐らく、パーセクが約3.26光年であるという事実から、光年→時間ぽいぞと感じて、パーセクも時間の単位なんだろうと思ったのでしょう。
それが正されずそのまま脚本に採用され、実際に上映にまで至ったというのは、ひょっとすると敢えてそうしたのかな、とも思えてきます。
スターウォーズに関する解説は下記の記事で紹介されていたので、詳しく知りたい方はご参考まで。
【ハン・ソロなんでムッとしたの?】「ファルコン号 ケッセルランを12パーセク問題」を今さら解説
まとめ
パーセク:光年よりも長い距離を表すために作られた単位。単位記号は
由来:「parallax(視差)」と「second(秒)」という2つの単語を組み合わせてできた造語。パーセクが、年周視差と三角関数を利用して距離を算出することから。
定義:1pc = 1天文単位(au)が円弧で1秒(sec)の角度を張る距離
求め方:
パーセクと光年の換算:1pc = 約3.26光年(ly)