コンタクトレンズを使っている方は、その度数についてDという単位が使われているのを見たことがあるでしょう。
更に言えばコンタクトの度数には+と-がありますが、どういう意味を持っているのかをあまり深く考えたことのある人は少ないかも知れません。
今回はそんな近視/遠視の方に縁の深い単位「ディオプター 又は ディオプトリ(D)」について、その定義や焦点距離、視力との関係など解説してみたいと思います。
ディオプター(D)とは
ディオプターという単位はディオプトリー(ディオプトリ)と呼ばれることもある、レンズの屈折力(屈折度、焦度とも言います)に関する単位です。
ただしレンズと言っても主に眼鏡用レンズを対象としているため、眼鏡・コンタクトレンズ業界で使われることがほとんどです。
単位記号
[D]※[Dptr]と表記されることもあります
定義
焦点距離をメートルで表したものの逆数と定義されています。
焦点距離というのはレンズのピントが合う距離のことですので、焦点距離が長いほどディオプターの値は小さい(レンズの度数は弱い)ということになります。
近視で考えるとわかり易いですよね。視力の弱い人ほどより近くしか見えませんから、焦点距離が短い(値が小さい)ということになります。ですがディオプターで表現すると数値は大きくなりますから、近視の度合いがより酷い方が値が大きくなります。
感覚的にも、強力な度数が必要なほど数値が大きくなるディオプター(D)という単位は使い勝手が良いのです。
SI系との関係
ディオプターはSIの前によく使われていたMKS(メートル・キログラム・秒)単位系の単位の1つで、先ほどの定義の通り「焦点距離(m)の逆数」ですから、メートル法で表すと1/m (m-1)となります。
ディオプターとレンズ度数の関係
眼鏡やコンタクトレンズの度数は、メーカーによって表現は若干異なりますが、「-2.00D」や「D+3.50」といった表記がされていると思います。
ここで覚えておきたいのは、度数の前についている符号によって、近視/遠視が区別されている点です。
- マイナス(-):近視
- プラス(+):遠視
- ±0:正視(目に屈折異常がない状態)
つまり、先の「-2.00D」であれば、近視の度数が2.00Dという意味になります。
なお2.00 D = 1 / 2.00 m-1 ですから、焦点距離は 1 / 2 = 0.5 mとなります。
同様に、度数と焦点距離の関係を下表にまとめました。
度数[D] | 焦点距離[m] |
0 | - |
0.25 | 4.00 |
0.50 | 2.00 |
0.75 | 1.33 |
1.00 | 1.00 |
1.25 | 0.80 |
1.50 | 0.67 |
1.75 | 0.57 |
2.00 | 0.50 |
2.25 | 0.44 |
2.50 | 0.40 |
2.75 | 0.36 |
3.00 | 0.33 |
3.25 | 0.31 |
3.50 | 0.29 |
3.75 | 0.27 |
4.00 | 0.25 |
ディオプターと視力の関係
レンズの度数についてはわかった。じゃあ自分の視力だと何Dのレンズを買えばいいんだろう?と気になった方もいるかも知れません。
結論から言うと、ディオプターと視力を直接結び付ける計算式は存在しません。同じ2.00Dだとしても近視と遠視で符号(+,-)が異なりますし、その方の目の状態によって、同じ視力だったとしても必要なレンズは異なるからです。
ネット上には以下のような相関表が出ていたりしますが、これはあまり正確なものではなく、あくまで参考程度と認識しておく必要があります。間違っても、これらの表を元に眼鏡やコンタクトを買わないようにしましょう。

視力とディオプターの相関表例
※引用:めがねのホシノ「視力と処方箋の読み方」より
過去には眼科に行かずにネット通販で眼鏡を買い、後悔した方の声も出ていました。。。
参考:Yahoo!知恵袋「裸眼視力が0.1~0.2くらいです」
まとめ
ディオプター(ディオプトリ):レンズの屈折度を表す非SI単位(MKS系)。単位記号は[D]
レンズの焦点距離をメートルで表したものの逆数を意味する。
※屈折度がプラス(+)の時は遠視、マイナス(-)の時は近視を意味する
ディオプターはあくまでレンズの屈折度の単位なので、視力と直接結びつけることができない。近視の場合の対比表はあるが、あくまで参考。