海において進んだ距離などの長さを測る単位が「海里(かいり)」です。
陸上では普通にメートル(m)やキロメートル(km)が使われているのに、なぜ海だけ独自の単位が使われているのでしょうか?
今回は海里の単位としての意味からkmやマイルとの換算方法、船の速度を表す単位「ノット」との関係など解説します。
目次
海里(浬)とは
海里とは、その名の通り「海における里(尺貫法の長さの単位の1つ)」、つまり海の長さの単位という意味です。
英語ではnautical mileと訳され、「海のマイル」とも呼ばれます。ただし一口にマイル(mile)と言っても陸上でのマイルとは長さが異なるので、あくまで言葉のあやだと思ってください。
単位記号
- 日本語では[海里]
- 英語では[nm]
※nautical mileの頭文字を取ったもの
定義
1海里 = 地球表面上で緯度1分に相当する長さ を意味しています。
なお、地球の1/360が緯度1度で、1度を更に1/60したものが緯度1分ですから、南極・北極を通って地球をぐるっと一周した長さの1/21600※の長さが1海里ということになります。
※360 × 60 = 21600
参考:海里と浬の違い
かいりを漢字で書くと、上述の通り通常は「海里」です。ただしPCなどで変換を書けると「浬」という字も出てきて、これらの違いは何だろう?と思われる方もいるかも知れません。
結論から言うと、両社は全く同じ意味です。漢字の成り立ちを見て頂ければわかると思いますが、「浬」はさんずいに里、つまり海里という2文字を1文字に縮めた字なんですね。
浬は常用漢字ではありませんが、時折単位の漢字としてもこちらが使われることがあります。どちらを使っても間違いではありませんが、特に事情がない限りはわかり易いように「海里」と記載した方が親切でしょう。
海里と他の単位の換算
海里とメートル(m)、キロメートル(km)の換算方法
上述の通り、1海里は地球1周分を1/21600(21600分の1)した長さです。これをメートル(m)で表すと、以下の通りとなります。
- 1海里 = 1852 m (1.852 km)
- 1km = 0.534 海里
海里はkmと換算する方が多いでしょうから、もしも簡単に海里⇔kmを換算したい場合は、ざっくりと海里×2 = キロメートルと覚えておけば計算できます。逆にキロメートルの半分が海里と覚えておいても良いでしょう。
海里とマイルの換算方法
冒頭で解説した通り、海里は海のマイルとも呼ばれていますが、下記の通り同じマイルでも陸上マイルと海里は長さが異なります。
- 陸上マイル(国際マイル):1609 m
- 海里(nautical mile):1852 m
よって、海里を国際マイルへ変換したい時は以下のようになります。
- 1 mile = 0.86879 nm
- 1 nm = 1.15103 mile
丁度良い覚え方が無いですが、だいたい海里×1.2がマイルと考えておけば良いと思います。
海里とノットの関係
船の速力を表す単位が「ノット(knot)」です。このノットと海里の関係は簡単です。
1ノット(knot) = 1時間に1海里(nm)進む速さ [nm/h]
海上においては地図として海図が用いられますが、地点は全て緯度・経度で表されます(そうでないと広い海の上で、自分の位置なんてわかりっこありません)。
そう考えると船の速力、航走距離を海図から容易に求められるという点からも、海里という単位は非常に合理的なんですね。
まとめ
海里:海における長さの単位。nautical mileとも呼ばれる。浬という漢字も同じ意味を持つ。
単位記号:[海里]または[nm]
定義:1海里は緯度1分に対する海面上の距離(長さ)を表す
1海里 = 1852 m = 1.852 km = 1.15103 mile
船の速力を表す単位「ノット(knot)」:1時間に1海里(nm)進む速さ [nm/h]