磁束密度とは、単位面積当たりの磁束数を表すもので、磁場の強さを表す物理量です。静電気学では電場の強さが基本量ですが、それの磁気学バージョンというやつですね。
今回は磁束密度の単位について、定義(意味)や記号、SI単位での表し方から、単位同士の換算・変換方法までご紹介します。
※記事後半では、磁束密度の単位換算ツールもご用意しましたので、よろしければ使ってみて下さい。
目次
磁束密度の単位テスラとは
磁束密度(英語ではmagnetic flux density)は、磁気誘導と表現されることもあります。教科書や論文などでは「B」という記号で表されます。
2020年現在、公式に認められている単位は「テスラ(T)」です。
単位記号
[T]※セルビア人の発明家「二コラ・テスラ」の名前の頭文字を取ったもの
テスラの定義
冒頭でも書いた通り、磁束密度とは「単位面積当たりの磁束数」を表します。テスラ(T)という単位も次のように定義されています。
1 T = 磁束の方向に垂直な面の1 m2につき1 Wbの磁束密度
式で表すと、下式ですね。
1 T = 1 Wb/m2
※Wb:ウェーバ。磁束の単位。1 Wb = 1 V・s
SI単位での表し方
テスラは特別の名称を持つSI組立単位の1つです。ですから、その物理量はすべてSI基本単位で表すことができます。
以下に、TをSI基本単位だけでの表し方を示します。
テスラ(T) = Wb/m2 = (V・s)/m2 = (W・s)/(A・m2) = J/(A・m2) = N/(A・m) = kg/(A・s2)
※Wb:ウェーバ、m:メートル、V:ボルト、s:秒、A:アンペア、J:ジュール、N:ニュートン、kg:キログラム
よく使われる倍量・分量単位
テスラ(T)はSI基本単位だけで表されるように定義されていますが、実務上は値が大きすぎるため、よく使われるのはテスラの前に「ミリ」や「マイクロ」といったSI接頭辞をつけた分量単位です。
参考記事:SI接頭辞(接頭語)についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
SI接頭辞(SI接頭語)とは?一覧まとめと変換方法、覚え方を紹介!
SI接頭辞(SI接頭語)とは?一覧まとめと変換方法、覚え方を紹介!
テスラでよく使われるのは以下の分量単位です。
- ミリテスラ(mT) = 10-3 T
- マイクロテスラ(μT) = 10-6 T
- ナノテスラ(nT) = 10-9 T
他の磁束密度関連単位との換算方法
テスラの他にも、磁束密度を表す単位に「ガウス(Gs)」と「ガンマ(ɤ)」が存在します。それぞれの換算方法をご紹介します。
テスラとガウスの換算
テスラとガウスの関係を式で表すと、次のようになります。
- 1 Gs = 10-4 T = 0.1 mT
- 1 T = 104 Gs = 10 kGs
元々テスラ(T)は、SIが定められる際にCGS単位系であるガウス(Gs)の代わりに作られた単位ですので、両者の関係は比較的単純で、換算・変換も簡単ですね。
テスラとガンマの換算
地球の磁場である地磁場の単位「ガンマ(ɤ)」も、テスラを基に定められた単位です。両者の関係は以下の通りです。
- 1 ɤ = 10-9 T = 1 nT
- 1 T = 109 ɤ = 1 Gɤ
地磁気は非常に弱く、実際の測定値にもnT(ナノテスラ)が使われるため、それに合わせてガンマ(ɤ)という単位が定められたんですね。
なお、磁束密度の単位を簡単に換算・変換したい場合は、次にご紹介するツールを使ってみて下さい。
磁束密度の換算・変換ツール
先ほどご紹介した3つの磁束密度の単位「テスラ(T)」、「ガウス(Gs)」、「ガンマ(ɤ)」。
これらを簡単に換算・変換できるツールを作ってみました。換算したい数値を入力した上で、換算前後の単位をそれぞれ選択し、「計算」ボタンを押せばOKです。
まとめ
テスラ:磁束密度の単位。単位面積当たりの磁束数を表す。単位記号は[T]。
定義:磁束の方向に垂直な面の1 m2につき1 Wbの磁束密度。
1 T = 1 Wb/m2
実務上よく使われるのはミリテスラ(mT)、マイクロテスラ(μT)、ナノテスラ(nT)
他の磁束密度を表す単位との関係:
- 1 Gs = 10-4 T = 0.1 mT
- 1 ɤ = 10-9 T = 1 nT