マッハ1は何キロ?速度(時速や秒速)のkm換算や音速との関係も!

飛行機がいかに早いかを表すのに、よく「マッハ〇」という表現が使われますよね。実はマッハは「音速の何倍か」を表す比較値で、実は速度の単位ではないということを、こちらの記事でご紹介しました。

参考記事:マッハは飛行機の速度の単位?mphやノットなど正しい表現や測り方も!
マッハは飛行機の速度の単位?mphやノットなど正しい表現や測り方も!

しかし改めて「マッハ1は何キロなんだ?」と思うことありませんか?

今回はマッハ数と時速や秒速、音速との関係を詳しくご紹介します。

マッハ数とは?おさらい

マッハ数(Mach number)とは厳密には速度の単位ではなく、以下のように定義されています。

飛翔体の速さとその流体中における音速との比率

つまり音速の何倍ですよという倍数を表しているのみで、例えばマッハ2なら音速の2倍というように、具体的に速度の絶対値は何も定義していないのです。

マッハ数の定義について、詳しくはこちらの記事で解説していますので参考にして下さい↓↓↓
マッハは飛行機の速度の単位?mphやノットなど正しい表現や測り方も!
マッハは飛行機の速度の単位?mphやノットなど正しい表現や測り方も!

 

マッハ数と音速の関係

マッハ数は音速の倍数を表す単位(本記事では便宜上「単位」として扱います)ですが、なぜわざわざこんなややこしい表現をするのでしょうか?音速の値を使って、単にそれを2倍3倍すればいいだけですよね。

音速については秒速340 m(340 m/s)くらいと覚えた方も多いでしょう。

しかし実はこの値は厳密には正しくなく、あくまで標準大気の状態における音速でしかありません。

そう、音の伝搬する速度というのは伝わる空気の状態、具体的には比熱比、平均分子量、温度の3つに依存するのです。

気体の比熱比をk、Rを気体定数、Tを気体温度[K]、Mを気体の平均分子量とすると、音速cは下式で表すことができます。

c = \sqrt{\frac{\kappa RT}{M}}

もしくは気圧p[Pa]と空気の密度ρ[kg/m3]を使い、下式から求めることもできます。

注意
本記事では気体中の音速についてのみ解説しています。液体や固体中ではまた音速を求める式は変わってきますのでご注意ください

マッハ数と時速・秒速との換算・変換方法

前置きが長くなってしまいましたが、マッハと音速の関係がわかれば、マッハ1が何キロなのか?という冒頭の疑問を解消することができます。

ここでは、気体定数とか小むずかしい理屈を習う前の小学生など向けの速度計算方法と、上記の音速の定義を正確に理解した上での計算方法を分けてご紹介します。

小中学生向け

ここでは、高い山の上でもないごく普通の平地で音速を計算した場合の、マッハ1と秒速、時速の関係をまとめました。

マッハ1は時速にすると1200キロくらいになるんですね。

気温[℃] 音速(秒速)[m/s] 音速(時速)[km/h]
0 331 1191.6
5 334 1202.4
10 337 1213.2
15 340 1224
20 343 1234.8
25 346 1245.6
30 349 1256.4
35 352 1267.2
40 355 1278

【かいせつ】音速の計算方法

気温が0℃のときの音速を計算すると、秒速約331 mとなります(約331 m/s)。

そこでこれを基準として、気温と音速(秒速)の関係を表すと次の式のようになります。

音速[m/s] = 331 + 0.6 × 気温[℃]

また、これを時速(km/h)に変えると次のようになります。

音速[km/h] = 0.331 + 0.6 × 気温[℃] × 3600[秒]

よって、例えば気温20度の時の音速を求めると、秒速343 m、時速1234.8 kmとなります。あまり正確な式ではありませんが、大人でも日常生活で音速を求めたい時は覚えておくと便利でしょう。

高校生以上向け

気体定数などの概念を習った高校生以上の方や、業務で使いたい社会人の方はこちらの換算方法を覚えておいた方が良いでしょう。

前項で書いた通り、音速cは下式で求められます。

c = \sqrt{\frac{\kappa RT}{M}}

k:比熱比、R:気体定数、T:気体温度(絶対温度)、M:気体の平均分子量

ここで、気体定数Rは8.31446[(m2 kg)/(s2 K mol)]、大気の比熱比kは1.403、大気の分子量Mは28.966[kg/mol]ですから、音速と温度の関係式が以下で表されます。

c[m/s] = √402.72(273.15 + 気温[℃])

上式を使って求めた温度ごとのマッハと時速・秒速の換算表を次に載せておきます。小学生向けの近似式が意外といい線行ってることがお分かり頂けると思います。

気温[℃] 音速(秒速)[m/s] 音速(時速)[km/h]
0 331.67 1194.00
5 334.69 1204.88
10 337.68 1215.66
15 340.65 1226.35
20 343.59 1236.94
25 346.51 1247.45
30 349.41 1257.86
35 352.28 1268.19
40 355.12 1278.44

なお詳しく換算したい場合は、こちらのサイトが参考になります↓↓↓
高精度計算サイト「空気中の音速」

まとめ

マッハ1は音速の1倍、つまりマッハ1 = 音速を意味する。時速にすると約1200キロ(km/h)、秒速にすると約340メートル(m/s)。

だたし音速は温度や気圧によって変わるため、正確には換算式を使ってその時の空気の状態に応じた値を求めるのがおすすめ。

換算式は小中学生向けとそれ以上向けとで、それぞれ以下の通り。

  1. 小中学生向け
    音速[m/s] = 331 + 0.6 × 気温[℃]音速[km/h] = 0.331 + 0.6 × 気温[℃] × 3600[秒]
  2. 高校生以上向け
    c[m/s] = √402.72(273.15 + 気温[℃])