絶対温度の求め方と単位の定義は?ケルビンと摂氏や華氏との変換方法も!

「絶対零度」という言葉があるように、絶対温度という温度の概念があります。

今回は、日常生活ではほとんど使いませんが、科学の世界ではむしろこちらを使う方が普通ともいえる単位「ケルビン(K)」の求め方について解説します。

また記事後半では、日本人が日常生活で使う「摂氏、セルシウス度(℃)」、アメリカ人が使う「華氏、ファーレンハイト度(℉)」との変換(換算)方法についてもご紹介します。

摂氏や華氏

 

絶対温度の単位ケルビンとは

絶対温度とは、またの名を「熱力学温度」と言います。これ以上下がらない最低の温度を0度(絶対零度)として温度を表す単位で、現在、単位の国際標準となっているSIにおける基本単位の1つとされています。

参考記事:国際単位系(SI)について詳しくはこちらの記事をご参照ください↓↓↓
国際単位系とは?SI基本単位と換算(変換)を一覧表で紹介!
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単位記号

[K]※ケルビンの英語表記「Kelvin」の頭文字を取ったもの

 

ケルビンの定義

SIにおいては、熱力学温度 = 絶対温度は次のように定義されてきました。

絶対零度と水の三重点の熱力学温度の差の1/273.16を1ケルビン(K)とする。

ただ、最新の状況では2019年にSI基本単位が再定義されたようで、次のように変更がされています(科学的な意味合いはほぼ変わりません)。

ボルツマン定数を1.380649×10−23J/K とすることによって定まる温度のうち、ケルビンで表される温度。

上の文章で、「ボルツマン~定まる温度のうち」とあるので、じゃあケルビンの他にも同じ温度があるのかと思う方もいらっしゃるかもしれません。

実はそれは正解で、ケルビンではなくセルシウス度で表したものが「摂氏(℃)」になります。ケルビンと℃は、数値こそ違えど同じ目盛を持つ単位です。

※詳しくは後述します。

ケルビンと摂氏との換算方法

絶対温度と摂氏温度、即ちセルシウス度との換算方法は、高校化学で習った方もいらっしゃるでしょう。両者は次式で変換することができます。

  • 摂氏温度[℃] = 絶対温度[K] – 273.15
  • 絶対温度[K] = 摂氏温度[℃] + 273.15

絶対温度の概念はもともと、私たちがよく使うセルシウス度(℃)が考案された後に生まれたもので、「ケルビン」という単位の由来ともなっているケルビン卿「ウィリアム・トムソン」が行った実験から定義されています。

その実験の結果、これ以上温度が低くならない絶対温度 = 絶対零度を0 Kとすると、それが-273.15 ℃に値することが算出されたのです(ケルビン卿は当時、セルシウス度から273を引いた値と求めたそうですが)。

したがって、絶対温度ケルビン(K)はセルシウス度をそのまま273.15度分シフトさせた単位なので、例えばメモリが1 Kだけ上昇した時は、セルシウス度も同じく1 ℃だけ上昇することになります。

前項で、熱力学温度の定義を記載しましたが、ケルビンとセルシウス度が同じ目盛を持つ温度と表現したのは、こういう理由からです。

ケルビンと華氏の換算方法

絶対温度(K)と華氏 = ファーレンハイト度(℉)の変換式は以下の通りです。

  • 華氏温度[℉] = 1.8 × 絶対温度[K] – 459.67
  • 絶対温度[K] = 1/1.8 × (華氏温度[℉] + 459.67)

この式について解説するために、まずセルシウス度(℃)とファーレンハイト度(℉)の変換方法を確認してみましょう。

参考記事:摂氏と華氏の換算方法については、こちらの記事で簡単版・詳細版とご紹介しています↓↓↓
摂氏と華氏をだいたいで換算する方法は?それぞれの言葉の由来や読み方も!
摂氏と華氏をだいたいで換算する方法は?それぞれの言葉の由来や読み方も!

ケルビン→華氏への換算

摂氏℃と華氏℉は、正確には次式で変換することができます。

華氏温度[℉] = 摂氏温度[℃] × 1.8 + 32

ここで、摂氏温度のところへ前項で解説した摂氏とケルビンの関係を代入すると、

華氏温度[℉] = (絶対温度[K] – 273.15) × 1.8 + 32

となり、これを展開すると、本項目の最初にご紹介した式になります。

 

華氏→ケルビンへの換算

ケルビン→華氏の変換方法がわかったら、その式を今度はケルビンについて解けば、2つ目の式が導けます。

華氏温度[℉] = 1.8 × 絶対温度[K] – 459.67

ですから、左辺を絶対温度にすれば下式が成り立ちます。

1.8 × 絶対温度[K] = 華氏温度[℉] + 459.67

よって、両辺を1.8で割ればよいという訳です。

まとめ

絶対温度:「熱力学温度」とも言い、これ以上下がらない最低の温度を0度(絶対零度)として温度を表す単位。SI基本単位の1つでもある。

ケルビン:絶対温度の単位。単位記号は[K]。

ケルビンの定義:SI基本単位の見直しにより、2019年に次のように再定義された。ボルツマン定数を1.380649×10−23J/K とすることによって定まる温度のうち、ケルビンで表される温度。

摂氏温度と絶対温度の換算式:

  • 摂氏温度[℃] = 絶対温度[K] – 273.15
  • 絶対温度[K] = 摂氏温度[℃] + 273.15

華氏温度と絶対温度の換算式:

  • 華氏温度[℉] = 1.8 × 絶対温度[K] – 459.67
  • 絶対温度[K] = 1/1.8 × (華氏温度[℉] + 459.67)