「エネルギー」と聞くと、一般庶民がパッと思い付くのは「カロリー(cal)」じゃないでしょうか。食べ物のエネルギーや運動によって消費するエネルギーの計算は、おそらく誰でも1度はやってみたことがあるでしょう。
しかし一口にエネルギーと言っても、科学技術の世界では仕事、運動エネルギー、位置エネルギー、電子ボルトといった幅広い定義があります。
今回それらエネルギーの単位一覧と換算表をご紹介します。
目次
エネルギー系の物理量
エネルギー関係の物質量としては以下4つが挙げられ、全てがSIでは同じ単位系として表されます。
仕事
仕事とは「ある物体に働いた力とそれが働かされる間に物が動いた距離との積」として定義されています。つまり式で表すと下式ですね。
仕事 = 力 × 高さ
この仕事のSI単位がジュール(J)で、ジュールの定義は以下の通りです。
1ジュール(J) = 1Nの力がその力の方向に物体を1m動かす時の仕事
エネルギー
エネルギーはギリシャ語で「内部で働く」という意味の言葉が語源になっています。つまりエネルギーとは、ある物体の内部で仕事をすることが可能な物質の性質を表します。
ですから、エネルギーも仕事の単位と同一量で測ることができるとされているんですね。
熱量
熱量は、例えば石炭を燃やすと、その中にあるエネルギーが酸素と熱と光として解放されます。それが結果として水を蒸気に変え、ピストンを動かして仕事がされることになります。
元々「ジュール」という単位自体、ジェイムズ・ジュールが仕事を熱に変えて「熱の仕事量」を測定した実験など行っていたことから付けられているので、熱量にもジュール(J)が使われるのは必然でしょう。
熱量関連の単位やそれらの換算方法について、こちらの記事でも詳しくご紹介しています↓↓↓熱量の単位換算(変換)方法!Wとcal、btuなどわかりやすく解説!
電力量
電力量に関しても、ジェイムズ・ジュールは電流による発熱量の研究から「ジュール熱の法則」を導いたことから、熱量やエネルギーと同じ考え方で求められるものであるということができます。
エネルギー関連の単位一覧
先にあげた仕事・エネルギー・熱量・電力量に関連する単位をまとめて挙げると、SI単位であるジュールをはじめ以下の通りです。
ジュール
単位記号
[J]定義
1Nの大きさの力が、その方向に1m動かす時にその力がする仕事。
1J = 1N・m(ニュートン・メートル) = 1m2・kg・s-2
よく使われる倍量・分量単位
エクサジュール[EJ]、ペタジュール[PJ]、テラジュール[TJ]、ギガジュール[GJ]、メガジュール[MJ]、キロジュール[kJ]、ミリジュール[mJ]
ワット秒
単位記号
[W・s]定義
SI組立単位の1つ。1ワット(W)の工率で1秒間になされる仕事。
1W・s = 1J(ジュール) = 1m2・kg・s-2
よく使われる倍量・分量単位
キロワット秒[kW・s]、ミリワット秒[mW・s]
ワット時
単位記号
[W・h]定義
1ワット(W)の工率で1時間になされる仕事。
1W・h = 3600J(ジュール) = 3600N・m(ニュートンメートル)
よく使われる倍量・分量単位
メガワット時[MW・h]、キロワット時[kW・h]
電子ボルト
単位記号
[eV]定義
荷電粒子が真空中1ボルト(V)の電位差のある2点間で加速される時に得るエネルギー。
1eV = 1.6021892 × 10-19J(ジュール) ≒ 0.1602aJ(アトジュール)
よく使われる倍量・分量単位
テラ電子ボルト[TeV]、ギガ電子ボルト[GeV]、メガ電子ボルト[MeV]、キロ電子ボルト[keV]
ワット
ワットは固有の名称を持つSI組立単位の1つで、蒸気機関車の発明者であるジェームズ・ワット(James Watt)にちなんだ単位です。
単位記号
[W]定義
1秒間につき1Jの仕事をする割合。
1W = 1J/s = 1m2・kg・s-3 =1VA
よく使われる倍量・分量単位
ギガワット[GW]、メガワット[MW]、キロワット[kW]、ミリワット[mW]、マイクロワット[μW]
カロリー
単位記号
[cal]※キロカロリーは[kcal]
定義
1gの水の温度を摂氏1℃だけ上げるのに必要な熱量。ただしこれでは水の温度によって必要なエネルギー量が異なるため、温度に依らない定義として下式が提唱されています。
1kcal = (1 / 860) kW・h(キロワット時)
※カロリーに関しては、そのエネルギー量が小さいため、1000cal = 1kcal(キロカロリー)の方が基本的な単位として扱われています
エネルギー関連の単位の換算表
仕事、エネルギーそして熱量に関する単位の換算表は以下の通りです。
ジュール(J)とキロワット時(kW・h)、キロカロリー(kcal)、それにSI以前の単位系であるキログラム力メートル(kgf・m)の換算・変換ができるようになっています。
単位名 | J | kW・h | kgf・m | kcal |
ジュール [J] | 1 | 2.77778×10-7 | 1.01972×10-1 | 2.38889×104 |
キロワット時 [kW・h] | 3.6×106 | 1 | 3.67098×105 | 860 |
キログラム力メートル [kgf・m] | 9.80665 | 2.72407×10-6 | 1 | 2.34270×10-3 |
キロカロリー [kcal] | 4.18605×103 | 1.16279×10-3 | 4.26858×102 | 1 |
例えば1Jが何kW・hになるのか?を見たい場合は、上から2行目の「ジュール」の行を横に見ていき、kW・h(キロワット時)の列と重なる所(左から3列目)の値を読むと「2.77778×10-7」とありますね。
これは即ち、1J = 2.77778×10-7kW・hであることを意味しています。
まとめ
仕事・エネルギー・熱量・電力量の4つは同じ物質量として扱われ、ベースとなる単位もジュール(J)で同じ。
エネルギー関連の単位一覧は以下の通り。
- ジュール[J]
- ワット秒[W・s]
- ワット時[W・h]
- 電子ボルト[eV]
- ワット[W]
- カロリー[cal]