熱量は「仕事」の概念の中で測られる物質量の1つで、エネルギーとしての熱の量を指します。
例えば温度の高い物体から低い物体へ熱が移動する時や、発熱(吸熱)して熱が放出(吸収)される時など、熱自体は目に見えませんので、どの程度の熱量が動いたのかなど、何らか定義してあげる必要がありますよね。
それが熱量の単位で表され、ワット(W)やカロリー(cal)、ヤード・ポンド法の英国熱量単位(btu)などが挙げられます。
今回はそんな熱量の単位換算方法について詳しく解説します。
仕事・エネルギー・熱量関係の単位換算はこちらの記事でも解説しています↓↓↓
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目次
熱量の単位一覧
熱量を表す単位としては主に以下が使われます。
ジュール(J)
ワット(W)
ワットは電力の単位と認識している方が多いと思いますが、実は「工率(こうりつ)」や「仕事率」と呼ばれる量の単位です。なので、厳密にはエネルギーの単位そのものではありません。単位時間あたりにどれだけ仕事がされている(エネルギーが使われている)かを表しています。
また、ワット(W)は固有の名称を持つSI組立単位の1つで、下式で表されます。
1W = 1J/s
このワットに時間をかけたワット時(W・h)がエネルギーの単位になります。
カロリー(cal)
カロリーは私たちにとって最も馴染みのある単位の1つでしょう。食料品の持つ熱量を表すのに使われていますよね。白米1杯○kcalとか。
定義は「1gの水の温度を摂氏1℃だけ上げるのに必要な熱量」です。ただしこれでは水の温度によって必要なエネルギー量が異なるため、温度に依らない定義として下式が提唱されています。
1kcal = (1 / 860) kW・h(キロワット時) = 4.1860465 kJ
※1kW・h = 3.6×106kW・hより
英国熱量単位(Btu)
[Btu]という単位で表される量で、単位記号の由来はBritish Thermal Unitの頭文字を取ったものです。その名の通り、英国=イギリスで作られたヤード・ポンド法の単位です。日本の計量法では「英熱量」という名称が採用されています。英熱量の定義は「1ポンドの水の温度を華氏1度上げるために必要な熱量」とされており、カロリーのヤード・ポンド法バージョンと考えるのが良いと思います。
ということはカロリー同様、水の温度によってその数値が異なるということになりますが、最も代表的な定義は以下の値になります。
1Btu = 1055.05585262J
※58.1℉(14.5℃)の水で定義
ワット(W)と他の単位の換算方法
先ほど書いた通り1W=1J/sであり、ワットそのものは熱量の単位ではありません。熱量の単位となるのはワット秒(W・s)やキロワット時(kW・h)など、ワットと時間をかけた単位です。
よって以下では、W・sやkW・hを他の単位と換算する方法についてご紹介します。
- 1W・s = 1J
- 1kW・h = 3.6MJ
- 1kW・h = 860kcal
- 1W・h = 3.41214Btu
カロリー(cal)と他の単位の換算方法
ここでは、先にご紹介した温度に依らない定義をベースに解説します。
カロリーとキロワット時の関係は以下のように定義されていました。
1kcal = (1 / 860) kW・h(キロワット時)
よって、他の単位とは以下のように換算できます。
- 1kcal = (1 / 860)kW・h = (1 / 860) × 3.6MJ = 4.18605 kJ
- 1kcal = (1 / 860)kW・h = (1 / 860) × 3412.14Btu = 3.9676 Btu
英熱量(Btu)と他の単位の換算方法
Btuをベースにして他の単位と換算すると、以下のようになります。
- 1Btu = 1055.05585262J ≒ 1.05506 kJ
- 1Btu = 0.25204 kcal
- 1Btu = 0.29307W・h
まとめ
熱量とは、エネルギーとしての熱の量を定量的に示したもの。主に使われる単位としては以下が挙げられる。
- ジュール(J)
- ワット秒(W・s)
- キロワット時(kW・h)
- カロリー
- 英熱量(Btu)
各単位間の換算方法については本文をご参照ください。
エネルギー関連の単位を一覧にまとめた記事はこちら↓↓↓
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