動粘度の単位センチストークス(cSt)とは?求め方や空気・水などの値も!

粘度とよく似た動粘度の単位である「センチストークス(cSt)」。流体力学を学んでいる方以外は目にする機会がほぼ無いと思うんですが、具体的にどんな物理量を表す単位なのでしょうか?

改めて「センチストークス(cSt)」という単位の定義・意味や求め方、水や空気といった主な物質の値をまとめてみました。

動粘度とは(おさらい)

動粘度とは、流体の動きやすさを表すものです。粘度も物質の流れやすさを表す物理量ですから、区別が難しいと思われそうですが、両者には次のような違いがあります。

  • 粘度:流体を構成する物質そのものの性質(流れやすさ)
  • 動粘度:流体としての性質(流れやすさ)

なお、動粘度は下式で求められるものです。同じ物質でも、密度によって動粘度が異なることを示しています。

動粘度 = 粘度 / 密度

 

動粘度の単位ストークスとは

本記事のメインである単位はセンチストークスですが、これは「ストークス(St)」という単位の前にSI接頭辞である「センチ(c)」が付いた単位です。

そこで、まずはストークスという単位について簡単に解説します。

ストークスは粘度の単位「ポアズ(P)」同様、SI単位より前に使われていたCGS単位の1つです。

※CGS単位:センチメートル(cm)、グラム(g)、秒(s)を基準とする単位系。現在のSIではメートル(m)、キログラム(kg)、秒(s)を基準としたMKS単位系が採用されている。

参考記事:粘度の単位ポアズについては、こちらの記事をご参照ください↓↓↓
粘度の単位センチポアズ(cP)とは?水や血液など液体の粘度一覧も!
粘度の単位センチポアズ(cP)とは?水や血液など液体の粘度一覧も!

単位記号

[St]※流体力学の分野で大いに貢献したアイルランドの物理学者「ジョージ・ガブリエル・ストークス」の名前の頭文字を取ったもの

 

ストークスの定義・意味

先に書いた通り、動粘度は粘度を密度で割ったものという意味です。よってストークス(St)も次のように定義されています。

1 St = 密度が1 g/cm3で粘度が1ポアズ(P)である流体の動粘度

式で表すと下式となります。

1 St = P/(g/cm3) = (Pa・s)/(g/cm3) = (g/cm・s)/(g/cm3) = cm2/s

※P:ポアズ、Pa:パスカル

分解した単位cm2/sから、動粘度は単位時間あたりに流体が動く面積と考えることもできますね。これなら、値が大きいほどよく動く=流れやすいとイメージがしやすいと思います。

ストークスとセンチストークスとの関係

動粘度の単位として広く知られた「ストークス(St)」ですが、粘度の単位ポアズ同様、実用上は値が非常に大きいため、本記事のタイトルにもある「センチストークス(cSt)」や「ミリストークス(mSt)」の方がよく使われます。

前項に書いた通り、センチストークスは「センチ(c)」+「ストークス(St)」という構成であり、SI接頭辞のセンチは1/100(10-2)を表す分量単位ですから、両者の関係は下式で表されます。

  • 1 St = 100 cSt
  • 1 cSt = 1/100 St = 10-2 St
注意
SIの単位表記の規則では、接頭辞は基本的に小文字、また人名がベースとなっている単位は頭文字を大文字で表記することが定められていますので、センチストークスは必ず[cSt]と記載します。

参考までに、ミリストークス(mSt)とストークスの関係は次の通りです。

  • 1 St = 1000 mSt
  • 1 mSt = 1/1000 St = 10-3 St

他の動粘度の単位との換算方法

現在でも流体力学世界ではよく使われるセンチストークス(cSt)ですが、現在国際標準となっているSI単位ではありません。SI単位で表した動粘度は、先に書いた通り[cm2/s]になります。

この2つの換算方法は次の通りです。

  • 1 cSt = 0.01 cm2/s = 10-2 cm2/s
  • 1 cm2/s = 100 cSt = 102 cSt

なお、cm/s2だけでなくm2/s、更にはStとの関係もまとめた一覧表をこちらの記事でご紹介していますので、パッとすぐに換算したいという方は参考にして下さい。

粘度の単位換算(変換)方法!cpやmpas,cstなど読み方も!
粘度の単位換算(変換)方法!cpやmpas,cstなど読み方も!

 

主な流体の動粘度一覧表

空気や水など、主な物質によって構成される流体の動粘度を一覧表にまとめました。

動粘度は値が大きいほど動きやすい流体であることを意味します。このことを念頭に置いてご確認ください。

 

まとめ

センチストークス:SI接頭辞「センチ(c)」+「ストークス(St)」を意味する動粘度の単位。SI単位より前に使われていたCGS単位の1つ。単位記号は[cSt]。

1 cSt = 1/100 St = 10-2 St

ストークス:密度が1 g/cm3で粘度が1 Pである流体の動粘度

1 St = P/(g/cm3) = (Pa・s)/(g/cm3) = (g/cm・s)/(g/cm3) = cm2/s

ストークスの値は非常に大きいため、実用上はより小さいセンチストークス(cSt)やミリストークス(mSt)がよく使われる。