日本ではメートル法を採用する前、長さや重さ、面積などを表すのに「尺貫法」が用いられていました。
「尺」や「貫」、「坪」など、今でも不動産取引時などで馴染みのある方も多いでしょう。
しかしこれら尺貫法の単位が具体的にどの位の量を表すのか分かりづらいのも事実です。
今回は尺貫法の中でも面積の単位「坪」に注目し、m2との換算方法などご紹介します。
尺貫法とは
尺貫法は日本で古来より使われてきた伝統的な度量衡(計量)法で、それぞれの物理量を以下の単位で表していました。
- 長さ:尺 = (10/33) m
- 重さ:貫 = 3.75 kg
- 面積:坪 = 3.3m2
- 体積:升 = (2401/1331000) m3 = 1.8L
読み方は「しゃっかんほう」です。
日本では1885年(明治18年)にメートル条約に加入した後、1891年(明治24年)に正式に上の4つの単位を定義しました。
とは言え今までずっと使ってきた単位をすぐに変えるというのは難しく、その後もしばらくはメートル法と併用されて来ましたが、1958年に商取引・証明上での公式な使用が禁止され、尺貫法は廃止されました。
「坪」の定義
1坪の正式な定義は1辺が6尺(1間)の正方形の面積とされています。
1間 ≒ 1.82mですので、面積を計算すると1.82m × 1.82m = 3.31m2と求めることができるのです。
※建築・不動産業界では1坪 = 3.3m2として計算しています
また、1坪は畳2枚分の面積とされています。
ただし畳は地域によって大きさが異なるため、古代エジプトなどで使われていた「キュービット(cubit)」同様、絶対値が時代や場所によって変わってしまうという短所がありました。
これでは単位として使うのが難しいため、現代は不動産取引協議会という所が1畳 = 1.62m2と定義しています。
畳2枚分 = 1.62m2 × 2 = 3.24m2ですから、先の1坪 = 3.3m2とは若干値が異なりますが、1坪の広さを測る目安としてはこちらの方が使いやすいと思いますので、覚えておいて損は無いと思います。
【豆知識】面積を表す単位「歩」
「坪」と同じく尺貫法で面積を表す別の言い方に「歩(ぶ)」があります。
その定義は[坪]と全く同じ、つまり1歩 = 3.3m2です。
一般庶民にとってはあまり聞きなれない単位ですが、[歩]は山林や耕地の面積に使われていましたので、農林業に従事されている方にとってはおなじみの単位かも知れませんね。
尺貫法の面積単位一覧と換算方法
尺貫法では、これまでご説明してきた通り面積の単位として「坪」が使われていましたが、実は坪以外にも面積に関連する単位がいくつか存在します。
それが「畝(せ)」、「反(たん)」、「町(ちょう)」で、それぞれの定義は以下の通りです。
- 1畝 = 30坪(歩) = 99m2 ≒ 100m2 (1a)
- 1反 = 300坪(歩) = 999m2 ≒ 1000m2 (10a)
- 1町 = 3000坪(歩) = 9999m2 ≒ 10000m2 (1ha)
尺貫法にも、メートル法のような10の倍数で変わる単位が存在していたんですね。しかも偶然にも、メートル法の単位である「アール(a)」とほぼ同じ面積を表しています。
ニュースなどで「○○ヘクタール(ha)の山林が失われ~」といった表現を見聞きしたことがあると思いますが、SI単位に入っていない「アール(a)」をわざわざ使う背景には、尺貫法との換算のしやすさが挙げられます。
※1ヘクタール(ha) = 100アール(a)
きっと昔の人々は「○○ヘクタール、あぁ○○町か」と頭の中で変換していたのでしょうね。
なお「反」は田んぼの大きさを測る単位としてよく知られた他、某有名な妖怪漫画に出てくる妖怪「一反木綿(いったんもめん)」の名前でも聞いたことがあるでしょう。
考えてみたら1反≒1000m2ですから、一反木綿はアニメで観るイメージより大分大きな妖怪なんですね。
公式の場では廃止された尺貫法ですが、今でも私たちの生活に溶け込んでいることがよく分かると思います。
まとめ
「坪」は尺貫法で面積を表す単位で、1辺が6尺(1間)の正方形の面積と定義されている。
1坪 = 3.3m2
イメージは畳2枚分の面積。
坪以外にも、尺貫法の面積を表す単位として以下がある。
- 1畝 = 30坪(歩) = 99m2 ≒ 100m2 (1a)
- 1反 = 300坪(歩) = 999m2 ≒ 1000m2 (10a)
- 1町 = 3000坪(歩) = 9999m2 ≒ 10000m2 (1ha)