atm(単位)の読み方や定義とは?パスカル等他の圧力単位への変換方法も!

圧力の単位の1つである[atm]。「標準気圧」を示すちょっと独特な単位で、高校化学で覚えた方も多いのではないでしょうか。

しかし1度社会に出てしまうと意外に触れる機会がなく、改めてこの単位ってどんな意味があるんだ?ときになることもあるでしょう。

今回は標準気圧(大気圧)の単位atmについて解説します。

大気圧とは(おさらい)

標準気圧の説明をする前に、簡単に大気圧について復習しておきたいと思います。

そもそも「気圧」とは読んで字のごとく気体の圧力の事を指します。ここに「大」の字を加えた大気圧とは、地球上において空気から受ける圧力を意味しています。

MEMO
基本的に私たちが圧力を測る時はどこであっても地球上ですから、わざわざ「大気圧」と呼ばなくても、気圧=大気圧と考えて差し支えありません。

眼には見えませんが、私たちの身の回りにある空気にも重さ(質量)があり重力が働いていますから、膨大な量の空気が集まれば、受ける圧力もそれなりの値になる訳ですね。

具体的に大気圧がどの程度の数値になるのかは、標高(高度)や緯度によって異なります。高い場所になるほど、その上にある空気の量は少なくなりますから、受ける圧力も小さくなるのです。

大気圧が変化する要因はこれ以外にも、温度や体積、海上からの水蒸気蒸発による影響などがあり、同じ標高・海抜高度でも気圧が異なるという状況があり得ます。

何らかの要因で気圧が異なる領域ができると、圧力が平衡状態になろうとして、高気圧側から低気圧側へ空気が流れ込みます。この空気の移動が「風」が生まれる原因です。

なお、大気圧を表すのに何らかの基準が必要だと判断された結果、海面での値を基準、即ち1と定めたのが、本記事で解説する「標準気圧」です。

標準気圧の単位atmとは

(大)気圧の基準とされるのが標準気圧で、英語では”atmosphere”(アトモスフィア)、もしくは”standard atmosphere”(スタンダード・アトモスフィア)と表現されます。

単位記号

[atm]

既に想像がついていらっしゃると思いますが、atmという単位の単位記号は、atmosphereの頭3文字を取ったものです。

 

読み方

「アトモスフィア」から来ているので、そのまま「アトム」と読みます。

 

atmの定義・意味

先の大気圧の項で書いた通り、atmつまり標準気圧とは海面における気圧を1とした圧力を意味しています。

具体的には、SIが定められた地フランスのパリと同緯度の平均海水面における平均気圧の値から、以下のように定義されました。

1 atm = 1cm2(平方センチメートル)あたり1,013,250 dynの圧力 = 1cm2あたり101,325 Paの圧力

※dyn(ダイン)というのは、N(ニュートン)以前に使われていた力の単位のことです。

過去記事でもいくつか出てきますが、単位の世界ではフランスという国が結構重要な役割を果たしているんですね。

参考記事:国際単位系とは?SI基本単位と換算(変換)を一覧表で紹介!
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参考記事:

他の圧力の単位との換算方法

標準気圧[atm]の定義式から、パスカル(Pa)との関係については1 atm = 101325 Paでした。

しかし圧力の単位はパスカルだけではありません。この他にも気象情報でよく見るヘクトパスカル(hPa)やkgf/cm2、mmHgなど現在では古い単位として扱われる単位などもあります。

これらとの換算方法についてもご紹介しておきます。

ヘクトパスカル(hPa)とatmとの換算

ヘクトパスカル(hPa)とは、パスカルの前にSI接頭辞と呼ばれる倍量単位を付けた単位で、1 hPa = 100 Paを意味しています。

よって、ヘクトパスカルとatmとの関係式は次の通りです。

1 atm = 1013.25 hPa

参考記事:SI接頭辞って何?と思われた方はこちらの記事を参考にして下さい↓↓↓
SI接頭辞(SI接頭語)とは?一覧まとめと変換方法、覚え方を紹介!
SI接頭辞(SI接頭語)とは?一覧まとめと変換方法、覚え方を紹介!

 

kgf/cm2とatmとの換算

kgf(キログラム重、キログラムフォース)も、ニュートン(N)以前に使われていた力の単位です。関係式は以下の通りとなります。

1 atm = 1.03323 kgf/cm2

参考記事:kgfとニュートンとの関係について詳しくはこちらの記事で解説しています↓↓↓
kgfの読み方や意味は?ニュートン(N)やkgへの換算・変換方法も!
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mmHgとatmとの換算

mmHgは「水銀柱ミリメートル」という単位で、気象学においてヘクトパスカル(hPa)以前によく使われていた単位です。

今でも血圧測定の時などに使われることがありますね。

このmmHgとatmとの関係式は以下となります。

1 atm = 760 mmHg

参考記事:mmHgについてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。単位の読み方に悩む単位ですよね↓↓↓
mmHgの読み方とは?単位のPa、kPaなどとの変換方法も!
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なお、これら圧力の単位の換算をパッとできるように、一覧表にまとめた記事もあります。atmだけではなく、例えばパスカル(Pa)とmmHgというように圧力関連の単位同士を換算したい時は参考にしてみて下さい。

参考記事:圧力の単位換算表!kgf/cm2,psiなど簡単に変換!
圧力の単位換算表!kgf/cm2,psiなど簡単に変換!

まとめ

atm:標準気圧の単位を表す。atmosphereの頭3文字を取った単位で、「アトム」と読む。

フランスはパリと同緯度の海水面の平均気圧を基に定められた大気圧の基準で、その定義は下式の通り。

1 atm = 101,325 Pa = 1013.25 hPa

記事本文中では、パスカルやヘクトパスカル以外の圧力の単位との換算方法についてもまとめているので、変換したい方は参考にして下さい。