分光学、結晶学を学んでいる方なら「Å」という記号を目にしたことがあるでしょう。アルファベットのAの上に謎の○が付いていて、初めて見ると一体何の単位か?と疑問に感じますよね。
実はこれ、オングストロームと読む長さの単位なのです。
今回はオングストローム(Å)とメートル法との単位換算(変換)方法と、パソコンやスマホでこの記号を入力したい時にどうしたらよいのか、ご紹介します。
目次
長さの単位オングストロームとは
オングストロームは分光学や結晶学の分野で独自に使われている単位です。
国際単位系(SI)で定められたものではなく、公式には認められていない単位ということになりますが、分光学などでは昔から便宜的に使われていることから、SIでも暫定併用単位という位置づけで記載があります。
参考:長さの単位では他に、「海里」がSI暫定併用単位に指定されています。
海里(浬)とkmの換算方法!単位としての意味やマイル、ノットとの関係も!海里(浬)とkmの換算方法!単位としての意味やマイル、ノットとの関係も!
単位記号
[Å]※スウェーデンの物理学者「アンデルス・オングストローム」の苗字の頭文字を取ったもの。オングストロームはスウェーデン語でÅngströmと書く
オングストロームの定義
オングストロームは次のように定義されています。
1 Å = 10-10 m
これは、分光学の基礎を築いたアンデルス・オングストロームが、10-10 mを単位として用いたことに由来します。
当時彼は特に単位名をつけることをしなかったのですが、その後分光学が発展するにつれ、この単位がよく使われるようになった(使い勝手がよかった)ため、後から「オングストローム」という単位名が付けられたのです。
オングストロームとナノメートルの換算
前項で書いた通り、1オングストローム(Å)は10-10 mです。これをナノメートル(nm)やピコメートル(pm)といった表現で表すと、どうなるでしょうか?
以下に表でまとめてみました。
オングストローム | メートル[m] | ナノメートル[nm] | ピコメートル[pm] |
1 Å | 10-10 m 0.0000000001 m | 10-1 nm 0.1 nm | 102 pm 100 pm |
1 nm = 10-9 mですから、1 nmを10で割った値が1 Åになるんですね。また、ナノの次の分量単位であるピコは、1 pm = 10-12 mですので、1 pm を100倍した値が1 Åになるという訳です。
参考:ナノやピコという分量を表す言葉をSI接頭辞(接頭語)と言います。
SI接頭辞(SI接頭語)とは?一覧まとめと変換方法、覚え方を紹介!SI接頭辞(SI接頭語)とは?一覧まとめと変換方法、覚え方を紹介!
オングストローム記号の入力方法
オングストロームの単位記号[Å]をPCやスマホで入力したい時、どうすればいいんだろう?と思ったときに参考にしてみて下さい。
文字で「おんぐすとろーむ」と入力する
2020年現在、大抵のスマホでもPCでも、この方法で予測変換候補として出てくると思います。
何なら「おんぐ」あたりで候補に挙がってくるでしょう。
全角入力で「A」と入力する
PCでもスマホでも、全角入力の状態で「A」と入力するだけでも、予測変換の候補として「Å」が表示されます。
ただしスマホの場合、「オングストローム」という表記ではなく「リング付き大文字」という表記がされていることもありますので、ご注意ください。
「記号と特殊文字」から選択する
エクセルやワードといったソフト上で特殊な文字を入力するときに使う「記号と特殊文字」の一覧。こちらから選択することもできます。
以下に示す文字コードを入力すればOKです。
- Unicode:00C5
- JIS X 0213:1-9-18
ちなみに上記のコードは、正確にはリング付きの大文字A(Å)の文字コードで、単位としてのオングストローム(Å)はまた違う文字コードが与えられています。
しかしそちらはUnicode標準で使わないよう推奨されているので、上記のコードを覚えておけば良いでしょう。
まとめ
オングストローム:分光学や結晶学の分野で独自に用いられる、長さの単位。10-10 mを表す。単位記号は[Å]。
他の単位との換算・変換:1 Å = 0.1 nm = 100 pm
PCやスマホでの入力方法:
- 「おんぐすとろーむ」と入力するか、全角入力で「A」と入力すると、予測変換候補として表示される。
- 「記号と特殊文字」の一覧表から選択する際は、Unicodeなら文字コード「00C5」と入力すればよい。