角度の単位について、以前こちらの記事でご紹介しました。
参考記事:角度の単位一覧!degやsrなど英語表記や分・秒などの意味も!
角度の単位一覧!degやsrなど英語表記や分・秒などの意味も!
平面角同様、立体角にも60進法を使った平方度(deg2)と10進法に基づいたSI系単位のステラジアン(sr)がありますので、今回はこれら立体角の定義や求め方を詳しく解説します。
また、立体角投射率や立体角の積分の考え方も記事後半でご紹介しますので、参考にしてください。
立体角の単位の定義
ステラジアン(sr)
参考記事でも説明していますが、ステラジアン(英語ではsteradian)は立体角を表すSI補助単位です。語源はラテン語で「立体」を意味するstereoで、記号はΩ(オメガ)が使われます。
単位記号
[sr]定義
半径がrの球の中心とその球面上面積がr2であるような円形の球面とを結んでできる円錐状の、立体の頂点部分の開き具合。球面全体は4π[sr]になります。
これは平面角のラジアンと同じ考え方ですが、立体ですので半径rの球体を考えます。平面角の時は円周を半径の長さの弧で分けていきましたが、ここでは下図のように球面の外周の面積がr2となるように分けていき、その円と球の中心を結んだ円錐形の立体角が1ステラジアン(sr)となる訳です。
出典:星田直彦著「あなたの知らない身のまわりの単位事典」
空間内の曲面 S の張る原点の周りの立体角は、下式の積分で計算することができます。
なおステラジアンをSI基本単位で表そうとすると1m2 × m-2 = 1となり、他の単位のように記号で表すことができません。角度に関する単位はラジアンもステラジアンも、特別に名前が付けられた補助単位なのです。
平方度(deg2)
平面角の度(°、deg)の立体版が平方度です。「°」のような記号はありません。
通常の科学技術の世界ではほとんど使われませんが、星座の大きさを表す際などに使われることがあります。
単位記号
[deg2]定義
一辺を1度(deg)とする正方形と同じ面積を持つ球面を切り取る立体角が、1平方度(deg2)です。
1deg2 = (2π / 360)2 = π2 / 32400 sr
星座の大きさ計算で考えると、天球全体の平方度は4πsr ≒ 41252.961249deg2となります。
立体角の単位換算
平面角であるラジアンと度の関係が比例関係でしたので、立体角同士の換算もそう難しくありません。
度(deg)では0° 〜 360°に分割されていた円周がラジアン(rad)では0 〜 2πに変わっただけなので、それが立体角に代わってもそれぞれを2乗すれば良いのです。
つまり、ステラジアンと平方度を変換するには以下の式をそれぞれ使えば良いということになります。
平方度→ステラジアンへの変換
360deg2 = 4π2sr より、
1deg2 = (2π / 360)2sr = (π2 / 32400) sr ≒ 3.04617×10-4 sr
※ミリステラジアン(msr)を使うと、1deg2 = 0.304617msrになります
ステラジアン→平方度への変換
平方度→ステラジアン時の逆数を取ればよいので、
1sr = 1 / (3.04617×10-4) deg2 ≒ 3282.80635 deg2
なお球面全体で考えると、ステラジアンなら4π sr、平方度なら3282.80635 × 4π = 41252.96125deg2 になります。
立体角投射率
立体角投射率というのは、照明の世界で使われる考え方です。
ある地点Pに立ちP点を中心とした全天空を考える時、その全天空に対する光源の面積比が立体角投射率です。
仮にP点が遮るもののない晴天で天空光(直射日光ではない太陽光)が降り注ぐ状態であれば、立体角投射率は100%になりますし、半分は雲で隠れて見えない状態であれば50%ということになります。
具体的には下図のように、面積Sの面光源からP点に光が届く場合を考えます。
半径r=1の天球の表面上における投影面積がS’、更にS’が地面に投影される際の面積がS”であるとき、立体角投射率Uは下式で表されます。
U = S” / (π × r2) × 100 [%]
まとめ
立体角にはSI補助単位であるステラジアン(sr)と、度数法による平方度(deg2)の2つの表し方がある。両者は下式で換算できる。
- 1deg2 ≒ 3.04617×10-4 sr = 0.304617 msr
- 1sr ≒ 3282.80635 deg2
球面全体はステラジアンなら4π sr、平方度なら41252.96125deg2
立体角投射率U:全天空に対する光源の面積比
U = S” / (π × r2) × 100 [%]